2001年広島大学医学部医学科卒業。
医療生協組合福島生協病院・広島大学医学部附属病院・独立行政法人機構国立病院呉医療センターを経て、2004年4月~2006年1月ウィミンズウェルネス銀座クリニックにて最先端の女性医療を学ぶ。現在虎の門病院産婦人科勤務。
NPO法人ティーンズサポート理事長
NPO女性医療ネットワーク理事
所属学会:日本産婦人科学会・日本性感染症学会・日本思春期学会・日本性科学会・日本不妊カウンセリング学会
性感染症は種類によって症状はさまざまですが、男女によっても症状のあらわれ方に違いがあります。また、感染しても自覚症状がほとんど出ない病気があります。その代表格ともいえるのが、性器クラミジア感染症。現在日本でもっとも蔓延しているSTDです。感染力が強く、女性の場合、感染しても約8割は自覚症状が出ません。とくに若い女性の間で拡がりを見せ、20代前半の女性の15人に1人がクラミジアに感染しているという報告があります。しかし、感染に気づかず検査を受けていない人もあわせれば患者数はもっと多いと推測されます。実際には20代前半のおよそ5人に1人がクラミジアに感染していると考えられます。
日本では、このほかにも淋菌感染症や性器ヘルペス、尖圭コンジローマの感染がジワジワと拡がっています。またHIVは、先進諸国が横ばいの中で、唯一日本だけ感染者数が増えています。
女性性器はからだの中にあり、感染経路である粘膜に広く覆われているために、男性に比べて女性の方が性感染症にかかりやすく、しかも症状もあらわれにくいといった特徴があります。
また、女性性器は腟から子宮、卵管を通って腹腔内(お腹の中)へとつながっているので、治療せずにほうっておけば炎症が奥へ奥へと広がっていきます。その結果、不妊症になったり子宮外妊娠を引き起こすなど、男性に比べて後遺症も深刻です。また、妊娠中に感染していれば、お産のときに赤ちゃんに産道感染してしまうこともあります。
また、エイズの原因ウイルスであるHIV感染症やHPVによる子宮頸がん、ウイルス性肝炎、梅毒などのように長い潜伏期間を経て発症する重大な病気もあります。
女性に深刻なダメージを与えるSTD。治療を受けて治ったとしてもそれがトラウマになることも少なくありません。またヘルペスやコンジローマのように、再発を繰り返す病気もあります。
愛を確かめ合うためにしたセックスが後悔のタネにならないように、STDの対策をしっかりとたてて、安全で安心できるセックスを行いましょう。 そのためには、まず不特定多数の相手とセックスをしないこと。感染予防のために、必ずコンドームを正しくつけること、そして、現在パートナーがいる人も、新しいパートナーができたという人も、ふたりで一緒にSTDの検査を受けましょう。
お互いSTDに感染していないことを確認して、安心してセックスをしてください。自分の体を守ることは、相手の体も周囲の健康も守ることにつながります。大げさに聞こえるかもしれませんが、そういった高い意識をもつことが、大人の女性としてのマナーと言えます。
「え~、コンドームや検査のことなんて、彼に言えない……」なんていう声が聞こえてきそうですが、これはとても大事なこと。逆にいえば、「安心してセックスを楽しむために、コンドームをきちんとつけてね」、「私と一緒にSTDの検査を受けてね」といった会話が彼とできる関係になるまでは、セックスはしないという心がけでいてほしいのです。
彼に切り出すには、勇気のいることかもしれません。でも、彼に嫌われるからと、相手の望むままにセックスしていては、ダメ。自分の体をもっと大切にしてください。 STDは今普通のカップルの間でも蔓延しつつあること、感染すると女性は大きなダメージを受けることを真剣に彼に伝えれば、彼もきっと理解してくれるはずです。
そういった話しを煙たがってあなたの心と体を大切にしてくれない男性なら、残念ながらあなたのことを愛してくれているとはいえません。 大好きな彼と安心して、お互いが気持よくなれる豊かなセックスをしてほしいな、と思います。
*次回に続きます