プラスコラム
PLUS COLUMN

美肌づくりは食事から

毎日どんなに念入りにスキンケアを行っていても、食生活が乱れていると、肌にうるおいがなくなったり、ポツポツと吹き出物ができてしまったり。食事の内容は、肌のようすにダイレクトに反映されますよね。
今回は、体の内側からきれいになるお話です。

ハリのある肌のために大切な「タンパク質」をバランスよく

健康で美しい肌を保つためには、たんぱく質やビタミン類が必要不可欠です。たんぱく質は体をつくり維持していくのに必要な大切な成分ですが、髪や爪、皮膚の大切な原材料になっています。ですから、ダイエットなどでたんぱく質の摂取が減ると、肌のハリや弾力がなくなり、髪がパサついたり、爪がわれやすくなったります。
皮膚や髪の健康を保つためには、たんぱく質を不足させないことがとても大事。大豆製品などの植物性たんぱく質と肉や魚などの動物性たんぱく質をバランスよく組み合わせて摂っていきましょう。

抗酸化作用をもつビタミンで肌老化にブレーキを!

また、美肌づくりには細胞の働きを活発にして新陳代謝をよくするビタミン類が欠かせません。にきび、肌荒れが気になるときには、皮膚の新陳代謝を高めるビタミンB群を積極的に摂りましょう。ビタミンB群は、さばなどの青魚やレバー、きのこ類、納豆などに含まれています。
さらに、「美肌ビタミン」と呼ばれているのがビタミンCとE、そしてβ-カロテン(ビタミンA)。これらのビタミンは、しみ、シワ、たるみなどの肌老化を促す活性酸素の抑制に強力なパワーを発揮してくれます。
ビタミンCは、ブロッコリーや芽キャベツ、カリフラワーやパセリなどに。ビタミンEは、ごま、いわし、ししゃも、アーモンドなどに、β-カロテンはにんじん、かぼちゃ、ほうれん草、小松菜などに豊富に含まれています。


最近はトマトなどに含まれる赤い色素の成分「リコピン」も注目されています。真っ赤なリコピン成分には、シミのもとであるメラニンをできにくくするといった強力な抗酸化力があります。
旬の野菜には「美肌力」がいっぱいです。野菜は毎食必ず食卓に並べたいものですね。
ところで、今は、昔に比べると野菜の栄養価がグンと減っているといわれています。たとえば、ニンジンに含まれるβ-カロテンは50年前の約半分にまで減っているとか……。


ですので、野菜サラダを食べているから「野菜は摂れている」と安心しではダメ。生野菜では、たくさんの量を摂ることはできません。煮たり、ゆでたり、蒸したりしてかさを減らして、たっぷり摂る工夫をしましょう。
ちなみに、ゆで野菜をつくるときは、お湯でゆでるよりも電子レンジ加熱のほうが失われるビタミンやミネラルの損失が少なくてすむようですよ。

「朝食べてはいけない」シミをつくりやすい食品

ところで、美肌によいといわれる食べ物でも、摂り方によってはシミをつくりやすい食品があるのをご存じですか。たとえば、そばや野沢菜、レモン、きゅうり、セロリ、パセリ、オレンジ、グレープフルーツなどで、これらの食品には紫外線を吸収させやすくする「ソラレン」という物質が含まれています。
そのために、これらの食品をたくさん摂って紫外線を浴びると、紫外線を余分に吸収してシミの原因になるので要注意です。
ただし、ソラレンは約8時間たつと体内で分解されるので、夜食べる分には問題なし。紫外線を気にせずに美肌効果を得られます。

楽しくおいしく食べて、心と肌に栄養を!

「大人のにきび」のコラムでもお話ししましたが、お肌は胃腸の健康と関連していて、胃腸の調子が悪いと、にきびや肌荒れなどのいろいろな肌トラブルが出てきます。
胃腸の調子を整えるためには、暴飲暴食を避け、バランスのよい食事をよく噛んで食べること。そして、何より楽しく食べること。イライラしながら食べる「やけ食い」は、ご法度です。そんなときには、かえって何も食べずに胃腸を休めたほうがよいのです。
美肌は、胃腸から しか生まれません。バランスのよい食事を心がけて、紫外線対策と保湿を十分に行うことが「美肌つくりの極意」です。

プロフィール

平田 雅子 先生
皮膚科医
平田 雅子 先生

私のクリニック目白 院長 日本大学医学部卒。皮膚科専門医。

東京医科大学、同大学八王子医療センターを経て、2003、10月から現職。
女性専門医療の第一線で活躍中。
女性医療ネットワーク理事。
日本医師会産業医。
女性の悩みをきちんと聞くことを心がけた診療に定評がある。