プラスコラム
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美しさのカギを握る女性ホルモン

同じ年代なのに、年齢より若く見える人、反対に老けて見える人・・。この差は、どこから来ると思いますか? メーク? ファッション? いえいえ、そのカギを握っているのは、卵巣から出る「女性ホルモン」。 今回は、女性ホルモンについてのお話です。

 

月経は女性だけがもつからだのリズム。女性の健康を知るための大切なバロメーターでもあるのですが、「月経が来なくても『めんどうがなくていい』とか、『そのうち来るだろう』と婦人科を 受診しない人が意外と多い。でも、月経が来ないということは、女性ホルモンが急激に低下していることを意味します。このことに、もっと危機感をもたなくてはだめ」と、対馬ルリ子先生はいいます。

 

 


「女性ホルモンは、妊娠や出産能力だけでなく、お肌はもちろん骨や血管、脳などの老化を防いで、女性のからだ全体の健康を支える大切なホルモン。そのホルモンが低下した状態が続けば、肌がシワシワかさかさになるだけでなく、若くして更年期症状が出たり、まるでおばあさんのように骨が弱くなったり・・。心にからだに、さまざまな障害が起こってきます」
では、なぜ女性ホルモンの分泌低下がそれほど問題になるのでしょう?

ダイエットと無月経の密接な関係

月経が3か月以上来ない状態が無月経。その大きな原因となるのが、無理なダイエットなのだそうです。体重や体脂肪を急激に落とすと、なぜ月経が止まってしまうのでしょうか。「ホルモン中枢のトップにあって、卵巣に『女性ホルモンを出しなさい』と指令するのが、脳の視床下部というところです。
体重や体脂肪が大きく減ると、生きていくのに必要なエネルギーが不足します。視床下部は、エネルギーを節約するために、生命維持には直接関係のない女性ホルモン分泌の指令をストップさせてしまうのです」。

ちなみに、1か月のうちに体重の5%が減っても、月経が来なくなるといいます。さらに体脂肪では、女性の場合、17%を割るくらいまで落とすと半分以上の人が無月経になるとのこと。 「適正体重と体脂肪を保つことはとても大切。体脂肪は22~23をキープしてほしいですね」。

月経の様子が3か月以上おかしいときは受診を

また、ストレスは脳の視床下部に大きな影響を与えるために、いやな上司がいる、失恋したなど、ストレスフルな状況が続くときも月経が止まることがあるそうです。
「無月経に限らず月経痛やPMS、月経不順など、月経のトラブルは、からだが発するSOSのサインだと受け取ってください。そんなときは、心にからだに負担がかかっていないか見直しを。
そして、月経のトラブルが3か月続くときは、迷わず婦人科を受診してくださいね」

プレ更年期からは積極的に健康管理を

ところで女性ホルモン分泌のピークは、20代半ばから30代前半。37~38歳くらいからは卵巣の働きが徐々に衰え、女性ホルモンの分泌も低下していくそうです。
「40代までの女性が、男性と比べて生活習慣病が少ないのは、女性ホルモンに守られているから。女性は閉経後に、一気に生活習慣病が増えてきます。

更年期以降の女性はもちろんプレ更年期世代の人も、健診で自分のからだの弱点を把握して積極的に健康管理を。婦人科医と相談しながら、女性ホルモンを上手に補っていくのもいいですね」。

プロフィール

対馬 ルリ子 先生
産婦人科
対馬 ルリ子 先生

日本産婦人科学会認定医、日本思春期学会理事、日本性感染症学会評議員、女性医療ネットワーク発起人代表。

2003年、女性の心とからだ、社会とのかかわりを総合的にとらえ、健康維持を助ける女性専門外来をすすめる会「女性医療ネットワーク」を設立。『「女性検診」がよくわかる本』(小学館)ほか著著も多数。近著に『娘に伝えたいティーンズの生理&からだ&ココロの本』(かもがわ出版)がある。