GOT、GPT、LDH、ALP、γ-GTP、コリンエステラーゼ、クレアチンキナーゼ、総ビリルビン
肝臓系の異常や病気に反応するため、重要な手がかりとなる検査です。なかでも一般的によく行われているものをあげています。診断は、ほかの検査結果と合わせて総合的に判断します。

GOT(グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ)は、体のさまざまな臓器の細胞にある酵素で、アミノ酸をつくる働きをしています。体内の臓器や組織が損傷すると、GOTが増加します。
肝臓、心筋、腎臓、骨格筋などの細胞に異常が起こると、すぐにGOTに異変が現れます。
GOTの基準値は、10~40U/ℓ。41~49U/ℓだと、経過を観察し再検査をします。50U/ℓ以上では、精密検査や治療が必要です。
GPT(グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)は、GOTと同様に、アミノ酸をつくる酵素のひとつです。
GOTよりGPTの量は少なく、もっとも多い肝臓でもGOTの3分の1といわれています。
特に、肝細胞の異常に敏感に反応するので、肝臓系の病気の診断には重要な検査です。
基準値は、5~45U/ℓです。46~49U/ℓでは、経過を観察し再検査をします。50U/ℓ以上では、精密検査や治療が必要です。
この両者の値は同じような傾向を示すため、検査結果は両方を見て判断します。
GOT、GPTが高値になりやすいのは、飲酒、運動のあと、肥満、ステロイド剤の服用、ストレスなどがあります。検査前には気をつけましょう。
また、急性肝炎では、黄疸があれば500~3000U/ℓ、黄疸がなくても100~800U/ℓに上昇します。ほかに高値では、薬剤肝炎、慢性肝炎、劇症肝炎などの疑いもあります。
肝臓以外の病気では、閉塞性黄疸、急性心筋梗塞、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、貧血などが考えられます。
LDHは、体の中で糖がエネルギーに変わるときに働く酵素のひとつです。
LDHは、悪性腫瘍、肝臓病、心臓病、血液の病気などで高値になることが考えられます。けれども、LDHが高いからといって、なんの病気かを特定することはできず、ほかの検査や症状と合わせて判断します。
基準値は120~245U/ℓです。値は運動(ジョギング、ゴルフ、水泳、野球など日常的な運動でも高値になり1週間続くことも)、妊娠、測定日によっても変動し高くなることがあります。病気がない場合は、しばらくするともとに戻ります。
ALPは、ほとんどの臓器に含まれているリン酸化合物を分解する酵素です。
肝臓の異常、肝臓から十二指腸のあいだの胆汁が流れる経路に異常があるかどうかがわかります。骨の病気でも、増加することがあります。
基準値は74~223U/ℓです。ALPが高値だった場合は、ほかのGOT、GPT、γ-GTPの値などと合わせて総合的に判断します。
γ-GTPは、GOT、GPTと同様にたんぱく質を分解する酵素のひとつです。腎臓にもっとも多くあり、膵臓、肝臓、脾臓、小腸にもあります。
γ-GTPは特にアルコールに敏感に反応します。肝臓や胆道の病気があると、ほかの酵素より早く異常値を示すため、アルコールによる肝臓障害の指標となります。
基準値は16~73U/ℓ。妊娠後期には低値になります。1日2合以上お酒を飲む人は、飲まない人にくらべると高値になります。
80U/ℓ以上なら異常と考え、アルコール、睡眠薬、精神安定剤を飲んでいるかを調べ、ほかの肝機能の血液検査結果を見て判断します。100U/ℓ以上では、精密検査や治療が必要です。
コリンエステラーゼは血清総たんぱくと同様、肝臓でしかつくられない酵素です。この検査では肝臓の力を調べることができます。
高値では、ネフローゼ、脂肪肝。低値では、肝硬変、急性肝炎、劇症肝炎、慢性肝炎、悪性腫瘍が疑われます。
基準値は、3500~8000U/ℓ(ブチリルチオコリン法で測定)です。異常値が出たら、ほかの検査と組み合わせて総合的に判断します。急激に値が上昇、下降する場合は再検査をします。
クレアチンキナーゼは、骨格筋や心筋、脳などに含まれています。
心臓や筋肉や脳などの組織細胞に障害があるかどうかを判断するうえで役立つ検査です。
病気以外でも高値になるのは、筋肉注射や手術のあと、激しい運動のあと、アルコールや鎮痛剤の常飲者、妊娠後期と出産前後です。
高値では、心筋梗塞、甲状腺機能低下症(橋本病ほか)、筋ジストロフィー、多発性筋炎などが疑われます。
女性は男性より基準値が低く、50~210U/ℓです。軽度の上昇なら、診察、筋電図検査、筋肉組織生検などで診断します。
総ビリルビンは、赤血球の中のヘモグロビンという血色素からつくられる色素です。
血液中のビリルビンを測ることで、肝機能の状態を知る重要な指標になります。
高値では、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、溶血性貧血、肺梗塞、敗血症などが疑われます。
基準値は、0.2~1.0㎎/㎗です。長時間の絶食のあとに上昇する傾向があります。
1.5㎎/㎗以上は異常値と考え、経過を見て再検査をします。2.0㎎/㎗以上では、黄疸が出てきます。
出典:『「女性検診」がよくわかる本』 対馬ルリ子 著/ 小学館 刊