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健康診断ガイド

1.検査の種類と受け方

検査の受け方と結果の判定

基準値の決め方と判定法

検査成績表の内容は
検査結果が報告される

健康診断や人間ドックの検査結果は、検査成績表(成績報告書)で知らされます。これは検査データにもとづき、医師が受診者の健康状態について、異常がないかどうかを判定して、その所見を書いたものです。
検査成績表には、2通りあります。1つは、検査項目ごとに判定のもととなる基準値と受診者の測定値を並記し、医師の総合的な所見を書いたものです。
もう1つは、検査データをもとに、医師が臓器や検査内容ごとに診断し、A、B、C~と、段階別の判定ランク(「検査結果の判定のしかた」)をつけたものです。これには、ふつう、生活上の注意書きもついています。施設によっては、2通りの成績表を1枚の紙にコンピュータで打ち出して、独自の報告書を作成しているところもあります。
検査成績表は、いわば定期的に受けとる健康歴の通信簿です。次回の検査成績と比較したり、病気になったときに非常に参考になる記録ですから、毎回ファイルして保存しておきましょう。

基準値とは何か
基準値は健康な人の平均値

基準値というのは、健常人(けんじょうじん)(健康人)に特有な数値や状態、つまり不特定多数の健康な人の平均値をいいます。
日本人間ドック学会では、次のような条件を満たす人を健常人として、それらの集団について測定した数値を基準値、または基準範囲としています。
(1)今までに大きな病気(脳血栓(のうけっせん)、心筋梗塞(しんきんこうそく)、高血圧、糖尿病(とうにょうびょう)、肝炎など)にかかったことのない人
(2)たばこをあまり吸わない人(1日20本まで)
(3)飲酒する場合、日本酒に換算して1日2合までの人
(4)血圧があまり高くない人(60歳未満では150/90mmHg未満、60歳以上では160/100mmHg未満)
(5)肥満していない人(BMI(ビーエムアイ)による肥満度が男性で26未満、女性で25未満)
(6)検査値が異常でない人(判定Bの範囲までにある人)

基準値をどのようにして決めるか

少し専門的になりますが、基準値の決め方を説明してみましょう。
健常人の測定結果をみると、平均値の中心近くに多くの人が集中しています。そして低値や高値になるに従ってそれぞれの人数が少なくなります。
これらの人はいちおう全員が健常人ではありますが、この中の低値や高値の人は、異常値の人と区別しにくくなります。そこで、これらの健常人の測定値を推計学的に処理して得た平均値(m)と標準偏差値(ひょうじゅんへんさち)(SD)から、次の計算式によって基準値を求めています。
基準値=平均値(m)±2SD(偏差値)
この結果、基準値は、健常人の値の上下2.5%を異常の可能性があるとして切り捨て、残りの95%を正常範囲としていることになります。(検査項目によっては、2SDを1SDとして基準値を求めることもあり、その場合は平均値前後の67%が正常範囲です)
なお、「基準値」は、以前は「正常値」といわれていましたが、健常人の正しい選出が困難だったり、正常範囲にも個人差があることなどから、必ずしも正常値とはいえないとして、基準値と呼ぶようになりつつあります。

異常値と境界値の決め方

基準値に対して、異常値は次のような式で求めます。
異常値=平均値(m)±3SD(偏差値)
2SDと3SDの間、つまり基準値と異常値の間にある値は、境界値(きょうかいち)あるいは境界域(きょうかいいき)といわれています。

検査結果の判定のしかた
判定は5段階で行なう

検査結果の判定は、ふつう臓器別(または専門科別)に、次のような段階で示されます。
A……異常ありません。
B……わずかな異常を認めますが、現在は日常生活に支障はありません。
C……わずかな異常を認めますが、現在は生活習慣の改善、または経過観察を要します。
D1…治療を要します。
D2…精密検査を要します。
E……現在治療中。

総合判定のしかた

臓器別の判定に基づき、総合判定が行なわれます。
総合判定では、おもな病気とわずかな異常とを区別しています。おもな病気とは命に関わり、専門的治療と医師からの生活指導をたえず必要とする病気です。わずかな異常とは、命と直接関係のない病気や、再発の心配のない古い病巣、年齢とともに現われる白内障(はくないしょう)や老人性難聴(なんちょう)などです。
判定のための資料が不十分な場合は再検査が行なわれます。とくにがんなどの命に関わる病気が疑われたときは二次検査、三次検査が追加されます。
その結果、おもな病気が認められたとしても、一人で悩まずに医師を信頼し、家族の協力を得て治療に専念することがなによりも大切です。それによって、道はおのずと開けてきます。

基準値・異常値の見方
測定値は生理的条件で変動

ここで、基準値の見方について、もう少しくわしく述べてみましょう。
たった1度の検査で、測定値が集団の基準値の範囲をはみでて異常値になったからといって、異常あるいは病気と思い込むのは早すぎます。
基準値とはいっても、年齢や性別で値が違ってくるからです。また、同じ人でも測定する日や時刻、季節、食事、運動、妊娠などの条件によって測定値に生理的変動がみられます。
人種などの遺伝的要因(いでんてきよういん)や居住地の生活環境の影響も指摘されています。

個人差の大きい測定値

健康な人でも測定値に個人差が大きすぎて、集団の基準値が当てはまらない場合もあります。
たとえば、腹痛で救急来院した患者の例で、白血球数の測定値が8000/μℓ(mm3)と、一般的には基準範囲だったにもかかわらず、その患者自身の基準値は4000/μℓで測定値のほうが異常だったということもあります。
このように、検査データでは基準範囲でも、ほんとうは異常の場合がありますし、検査結果で異常値を示しても実際は異常でない場合もあるのです。
したがって、個人の測定値を正しく診断するためには、生理的変動や個人差を考慮に入れなくてはなりません。そのためにも2度、3度と健康診断を重ねて、検査データを点でなく変化のわかる線にし、自分なりに健康状態にあるときの数値を知っておくことが重要です。

異常値のときどうするか
検査を組み合わせて診断する

検査項目に異常ありと書かれただけで、すっかり重病人になりきってしまう人がいます。しかし、1つの検査項目の測定値をみるだけなら、たいていは基準値と異常値の境にあたる境界値(きょうかいち)であることが多く、どちらとも決めにくいことが多いのです。
そこで、いくつかの検査結果の組み合わせによって、専門医が総合的に病気の診断を行ないます。
したがって、検査結果について自分勝手な判断を行なって、一喜一憂してはいけません。判定に不安や疑問があれば、一人で悩まず、医師にその意味を納得のいくまで説明してもらいましょう。

関連リンク

コラム「検査値の単位について」

出典:『病院の検査がわかる 検査の手引き 改訂第5版』
安藤幸夫、真山享、藤田善幸 著 / 小学館 刊

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