個人で申し込む一般外来受診であれ、会社などの健康診断であれ、初めて検査を受ける人にとって検査前日はさまざまな不安が伴います。「どんな検査だろう」「苦痛はないのか」などと考えただけで血圧が上がってしまいます。
こうした不安を少しでも少なくするために、検査の内容や注意点について確かな予備知識をもって、検査に臨むことを心がけましょう。
健康診断や人間ドックは、日ごろの自分の健康状態を検査するのですから、できるだけいつもと同じ生活状態で検査に臨むことが大切です。検査にあたっては、医師や検査の係の人の注意や指示を守り、落ち着いた気持ちで検査を受けるようにしてください。
検査の際、いつもと同じ状態ということで、前日の夜もお酒を飲んでいる人がよくいます。しかし、アルコールは、検査の結果に大きな影響を与えますから、検査前日の飲酒は避けなくてはいけません。
前日の夕食も、できれば7時ごろまでに自宅ですませ、それ以降は、果物やコーヒー、紅茶、牛乳などは控えます。夜間の食事は、血糖値やコレステロール値を上げるため、正常な検査ができなくなってしまうからです。
しかし、仕事などの関係で、どうしても夜遅く食事をしなければならないときは、検査時に申し出ましょう。
原則として、薬の服用も中止します。ただし、高血圧や心臓病、糖尿病(とうにょうびょう)など、主治医に毎日の服薬(ふくやく)を指示されている人は、検査の予約の際、薬品名か薬を係の人に届け出るとよいでしょう。
検査当日は、できるだけリラックスした状態で検査を受けるように心がけましょう。緊張しきっていては、血圧や心電図(しんでんず)に影響を与えてしまいます。
そのためにも、前もって渡された注意書きや検査前の説明について、不安や疑問点があれば、納得のいくまで質問することです。そうしてはじめて安心し、リラックスした状態で検査を受けることができるようになるのです。
また、以前の検査で、からだに変調をおこしたことがあるときは、検査前に申し出るようにしましょう。
集団検診や人間ドックでは、前もって問診票(質問票)を渡されることが多いですが、必ず記入して提出しましょう。検査結果の判定や、今後の生活の指導などに必要な資料となるものですから、なるべく正直に記入することが大切です。
一般外来受診の検査は問診から始まりますが、その際、患者の応答がなかなか要領を得ず、こまってしまうときがあります。たとえば、いつごろから症状があるかを聞いても「だいぶ前です」と答え、以前の手術時期を聞いても「若いころです」などと、つかみどころのない返事をします。自分の年齢さえ、すぐに出てこない人もいます。
こうしたやりとりが続くと、たくさんの患者を診察する医師としては、時間が大変惜しくなります。
できれば、検査前に患部や症状、病歴、名前、年齢などをメモし、問診の準備をしておいてほしいものです。
健康診断や人間ドックでの痛みといえば、採血時のチクリとした痛みぐらいで、とくに苦痛はありません。
しかし、糖尿病検査のブドウ糖負荷試験(とうふかしけん)で、2度、3度と採血するときなど、緊張のために気持ちが悪くなることがあります。心電図の運動負荷(うんどうふか)試験でも苦痛を訴える人もいます。こんなときは遠慮なく申し出てください。
また、胃のバリウムX線検査では検査前に胃の動きを止める注射をしますから、のどが渇き、一時的に尿の出が悪くなります。大腸検査では前日の夕食後に下剤を飲みますから、夜間の下痢(げり)で睡眠不足になりがちです。
検査が終わっても、係の指示があるまでは検査中ですから、勝手な行動を慎むのがマナーです。
検査の終了後、係の人から検査後の注意がありますので、それを必ず守りましょう。たとえば、胃や大腸の内視鏡(ないしきょう)検査では、組織の一部を採取することがあります。これを軽く考えて気ままに飲食する人がいますが、係の指示に従わなくてはいけません。
検査の結果は、医師から説明があります。異常のみられる検査や、測定条件が悪くて再検査が必要な場合などには、次回の検査日についての説明や注意があります。後で質問したいことや連絡がある場合を考えて、連絡先や連絡方法を聞いておくことも大切です。
出典:『病院の検査がわかる 検査の手引き 改訂第5版』
安藤幸夫、真山享、藤田善幸 著 / 小学館 刊