• 文字サイズ
  • サイズ小
  • サイズ中
  • サイズ大
  • 印刷する

健康診断ガイド

1.検査の種類と受け方

検査を受けるときの予備知識

検査は、なぜ必要か

めざましい医療技術の進歩
診察の補助手段だった検査

日本人の平均寿命は戦後大きく伸びて、今や「人生80年」の時代を迎え、わが国も世界で1、2を争う長寿国となりました。その原因の一つに医療技術の進歩があげられます。
医療を大別すると、治療医学予防医学とに分けられますが、もともと医学は治療を目的として発達してきたものです。「病人の苦痛の原因は何か」、つまり「かかっている病気はなんなのか」を診断することが必要とされ、そのための診断技術が重要視されるようになり、19世紀後半から20世紀前半にかけて急速に進歩しました。
しかし、そのころはまだ病人を問診し、診察することによって診断することが重要とされ、臨床検査は診察の補助手段にすぎませんでした。

診断・医療に欠かせない検査

20世紀後半に入ると、ME機器(電子医療機器)の発達とともに、臨床検査技術はめざましく進歩しました。検査の種類も増え、また、検査そのものも簡単に行なえるようになりました。
その結果、受診者の病状もいっそう正確に把握(はあく)できるようになり、今日では、臨床検査は病気の診断や治療、経過観察、予防、生活指導に不可欠なものとなりました。

手後れにならないために
見つかりにくい慢性の病気

病気になると、からだの中の臓器や器官は、危険信号としていろいろな症状を現わし、知らせてくれます。たとえば、急性の胃腸炎では腹痛や下痢、ときには発熱といったからだの変調をきたします。このように症状や兆候(ちょうこう)が早く出る急性の病気であれば、すぐ医師の診察を受けて指示に従えばよいのですが、症状の少ない慢性の病気の場合は、診断や処置が遅れがちです。

手後れになりがちな慢性の病気

慢性の病気の中でも、糖尿病(とうにょうびょう)の場合、初めのうちは、多少疲れるとか、元気がないといった程度で、かなり進行しないと、のどが渇く、やせるといった特有の兆候が出てきません。たまたま集団検診や生命保険の加入時の検査などで尿に糖が出てきてはじめて、異常が発見されることが多く、尿糖の出にくい人は、血糖検査を受けないかぎり糖尿病とわかりません。
このように慢性の病気は、一見健康そうで、人一倍働いている人が、気がついて受診したときには手後れだったということがよくあります。

定期健診で病気の予防と治療を
予防にはまず生活習慣の改善が大切

とくに、糖尿病、高血圧症、脳卒中(のうそっちゅう)、心臓病、がんなどといった日本人のおもな死亡原因になっている病気は、年配の人に多くみられますが、実は老化だけによっておこるものではありません。若いころからの悪い生活習慣、つまり食べ物の量や質、喫煙(きつえん)、飲酒、塩分のとりすぎ、運動不足、ストレス、休養のとり方などに深く関わっていることが明らかになっています。
今まで、加齢によっておこるとされて「成人病」といわれてきたこれらの病気は「生活習慣病」と呼ばれるようになり、生活習慣を改善することで病気の発症や進行は予防できるという考え方が重視されるようになりました。

早期発見・早期治療でがんも治る

ただし、生活習慣病の予防には、悪い生活習慣を改めることも大切ですが、病気の早期発見も重要です。
悪性腫瘍(あくせいしゅよう)(がん)の場合でも、早期に発見すれば、特別なものをのぞいて根治することができます。逆に手後れになると、死につながります。
高血圧でも早いうちに発見して、日常生活を改善すれば、血圧も下がり、合併症も予防できます。また、糖尿病でも早期なら、食事コントロールで病状を改善できます。
このように早めに処置することによって、病気は治癒(ちゆ)しないまでも、進行にブレーキをかけることができます。つまり、定期的に健康診断を受けて早期に病気を発見し、生活を改善することが、病気の予防にも治療にもなるというわけです。
過去に検査を受けたことがある人も、初めて検査を受ける人も、これを機会に定期的に健康診断を行ない健康維持や改善に努めてほしいものです。

出典:『病院の検査がわかる 検査の手引き 改訂第5版』
安藤幸夫、真山享、藤田善幸 著 / 小学館 刊

ウェルネス・コミュニケーションズ株式会社